著作権の保護期間延長 ― 2005年09月29日 00:31
中村正三郎さんのホットコーナーでJASRACの問題が何度か取り上げられていたのですが、その中で著作権の期間はもう(50年から70年に)延長されたのか、という話が出ていたところへ、catchさんから情報提供がありました。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/09/24/86499
著作権の期限について
catchさんによれば、これは黒澤プロの陰謀ではないかとのこと。「七人の侍」(1954年制作)の権利が切れる2004年末に間に合わるかのように著作権法の改正(2004年6月)が行われており、その結果を受けた上でゲーム版やアニメ版が作られている、というわけです。
<※追記:catchさんより、「黒澤プロのネタは、たいした根拠があるわけでもないので、眉に唾を付けながら読んで頂ければ(^^」とのコメントをいただきました。当方、当然そのように了解しております。ただ、最近は軽い冗談を真に受けて怒り出したり人を非難したりされる方も少なくないので、ここで念を押させていただきます。>
そこで、ちょっと調べてみました。
改正著作権法によれば、まず、著作権の存続期間は「別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(中略)五十年を経過するまでの間、存続する」となっています(第51条第2項)。つまり、「原則五十年」というのは変わりなし。
そうした上で、次条以降に「別段の定め」が続いています。
第52条:無名又は変名の著作物の保護期間→50年
第53条:団体名義の著作物の保護期間→50年
第54条:映画の著作物の保護期間→70年
なんと、映画だけ70年に延長。これはどうしたことでしょう。なるほど怪しい。
さらに、文化庁のサイト(http://www.bunka.go.jp/index.html)の「著作権なるほど質問箱」によれば、「映画の著作物は、旧著作権法の時代から現在にいたるまで、数回保護期間を延長」しているそうです。わざわざ映画の著作物にだけこんなコメントがついているのは何を意味するのか。
まあ、たとえ黒澤プロが噛んでいないとしても、既に存続期間が70年になっている欧米諸国に配慮して、いずれは映画以外もすべて70年にする、そういう流れであることは間違いないでしょう。
そういうわけで、「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)では「著作権保護期間延長反対」運動を展開しているようです。
http://www.siesta.co.jp/aozora/archives/001717.html
青空の行方/なにゆえの著作権保護期間70年延長か
http://www.siesta.co.jp/aozora/archives/001797.html
著作権保護期間延長反対ロゴ
以前、青空文庫プロジェクトでは、太宰治の作品の電子テキスト化作業を著作権が切れる前から進め、著作権が切れたタイミングでそれを公開したところ、遺族からクレームがついた、ということがあったように記憶しています。50回忌が済んだ翌日からパブリックドメインに入ると勘違いしていたわけです(正しくは、著作者が死亡した日を含む年の翌年から起算して50年間、つまり、50回忌の年の12月31日まで権利は存続)。ですから、著作権の問題には細心の注意を払っておられるだろうと思います。そんな中での著作権保護期間の延長は、プロジェクトにとって非常に頭の問題となるでしょう。成り行きが注目されます。
最後に私事を少し。
catchさんはOpenOffice.org日本ユーザ会で活躍なさっている方なのですが、私は以前、同会の翻訳プロジェクトに参加させていただいたことがあります。
http://ja.openoffice.org/
OpenOffice.org日本ユーザ会
私の力と時間が不足していたため、大した貢献もできずに短期間でリタイアしまったのですが、いまでもOpenOffice.orgのユーザとして、同会の活躍を見守っています。
http://iiyu.asablo.jp/blog/2005/09/24/86499
著作権の期限について
catchさんによれば、これは黒澤プロの陰謀ではないかとのこと。「七人の侍」(1954年制作)の権利が切れる2004年末に間に合わるかのように著作権法の改正(2004年6月)が行われており、その結果を受けた上でゲーム版やアニメ版が作られている、というわけです。
<※追記:catchさんより、「黒澤プロのネタは、たいした根拠があるわけでもないので、眉に唾を付けながら読んで頂ければ(^^」とのコメントをいただきました。当方、当然そのように了解しております。ただ、最近は軽い冗談を真に受けて怒り出したり人を非難したりされる方も少なくないので、ここで念を押させていただきます。>
そこで、ちょっと調べてみました。
改正著作権法によれば、まず、著作権の存続期間は「別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(中略)五十年を経過するまでの間、存続する」となっています(第51条第2項)。つまり、「原則五十年」というのは変わりなし。
そうした上で、次条以降に「別段の定め」が続いています。
第52条:無名又は変名の著作物の保護期間→50年
第53条:団体名義の著作物の保護期間→50年
第54条:映画の著作物の保護期間→70年
なんと、映画だけ70年に延長。これはどうしたことでしょう。なるほど怪しい。
さらに、文化庁のサイト(http://www.bunka.go.jp/index.html)の「著作権なるほど質問箱」によれば、「映画の著作物は、旧著作権法の時代から現在にいたるまで、数回保護期間を延長」しているそうです。わざわざ映画の著作物にだけこんなコメントがついているのは何を意味するのか。
まあ、たとえ黒澤プロが噛んでいないとしても、既に存続期間が70年になっている欧米諸国に配慮して、いずれは映画以外もすべて70年にする、そういう流れであることは間違いないでしょう。
そういうわけで、「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)では「著作権保護期間延長反対」運動を展開しているようです。
http://www.siesta.co.jp/aozora/archives/001717.html
青空の行方/なにゆえの著作権保護期間70年延長か
http://www.siesta.co.jp/aozora/archives/001797.html
著作権保護期間延長反対ロゴ
以前、青空文庫プロジェクトでは、太宰治の作品の電子テキスト化作業を著作権が切れる前から進め、著作権が切れたタイミングでそれを公開したところ、遺族からクレームがついた、ということがあったように記憶しています。50回忌が済んだ翌日からパブリックドメインに入ると勘違いしていたわけです(正しくは、著作者が死亡した日を含む年の翌年から起算して50年間、つまり、50回忌の年の12月31日まで権利は存続)。ですから、著作権の問題には細心の注意を払っておられるだろうと思います。そんな中での著作権保護期間の延長は、プロジェクトにとって非常に頭の問題となるでしょう。成り行きが注目されます。
最後に私事を少し。
catchさんはOpenOffice.org日本ユーザ会で活躍なさっている方なのですが、私は以前、同会の翻訳プロジェクトに参加させていただいたことがあります。
http://ja.openoffice.org/
OpenOffice.org日本ユーザ会
私の力と時間が不足していたため、大した貢献もできずに短期間でリタイアしまったのですが、いまでもOpenOffice.orgのユーザとして、同会の活躍を見守っています。
コメント
_ catch ― 2005年09月29日 01:05
_ 半四郎 ― 2005年09月29日 01:14
catchさま
わざわざお越しいただき、ありがとうございます。また、翻訳プロジェクトでは大変お世話になりました。Yさんにもよろしくお伝え下さい。
黒澤プロのネタは、一応、冗談半分と受けとめてはいますが、あながち冗談ではないかもしれないのが音楽や映画の世界のようですね。一応、いろいろ勉強してみようと思っています。
OOo 2.0の正式リリースが楽しみですね。
それよりbetaテスターになって協力しろって>自分
では。
S. Yagi.
わざわざお越しいただき、ありがとうございます。また、翻訳プロジェクトでは大変お世話になりました。Yさんにもよろしくお伝え下さい。
黒澤プロのネタは、一応、冗談半分と受けとめてはいますが、あながち冗談ではないかもしれないのが音楽や映画の世界のようですね。一応、いろいろ勉強してみようと思っています。
OOo 2.0の正式リリースが楽しみですね。
それよりbetaテスターになって協力しろって>自分
では。
S. Yagi.
OpenOffice.orgは、この先5年も10年も使い続けるツールだと思います。まだまだ作業は続きますので、機会があれば短期間でも構わないので、また手伝ってくださいマセ。
黒澤プロのネタは、たいした根拠があるわけでもないので、眉に唾を付けながら読んで頂ければ(^^